旧アピタ日吉店(箕輪町2)などの大規模跡地での再開発「港北箕輪町二丁目地区 地区計画」について横浜市は今月(2017年6月)23日、4月に開いた公聴会での住民意見に対して市側の考え方を文章で示すとともに、都市計画決定の次の段階となる「縦覧」を開始しました。縦覧に対する意見表明は土地所有者などの利害関係者に限られており、一連の土地はすべて野村不動産が所有していることから、公式に住民が意見を述べる機会は事実上、終わっています。
計画地は、本来は高さ20メートル以内の制限がかかっている地域だが、市は広場などの公共用地として提供することを条件に高さ60メートルまでを認めたことが妥当か否かが大きな争点となっている(市の素案説明会スライドより)
最高20階建ての建物を認めた市の対応について、公聴会で疑問が相次いだことに対し、市は従来からの「土地の合理的かつ健全な高度利用を図るため」との主張を提示。そのうえで、「A地区(※新小学校建設用地以外のエリア)における建築物の容積率の最高限度を250%、高さの最高限度を60mとしますが、周辺の市街地環境に配慮し、調和のとれた街並みを形成する」として、
- 建築物等の形態意匠を制限する(建築物全体のボリューム感、壁面による圧迫感及び長大感を軽減させること)
- 現状の高度地区による制限よりも厳しい北側斜線制限を定める(綱島街道沿いの建築物の外壁面は道路境界線から10メートル以上、高さ31メートルを超える部分の外壁は同境界線から20m以上後退させること)
- 周辺の日影規制は緩和せず、全市域と同様の水準で制限する
などの制限を設けていることを説明しています。
一方、日大高校入口交差点などの周辺道路環境に対する懸念に対しては、「安全で快適な歩行者空間の確保が非常に重要な課題であることは、これまでの様々な機会を通じてよく理解し、行政内部で共有しています」といいます。
具体的な取り組みとして、「市道箕輪第159号線(※日大高校入口交差点から、マツモトキヨシ日吉箕輪店裏手の合流地点までの市道)及び市道箕輪第161号線(※綱島街道から旧アピタ日吉店とマツモトキヨシ日吉箕輪店の間を抜け、矢上川にかかる「一本橋」までの市道)の歩行者空間の改善等については、現在、行政が主体となり、沿道の地権者の皆様、町内会、周辺の学校などの関係者の皆様との意見交換会を始め、対策を検討しています」との現状を述べました。
箕輪町計画における施設の予定配置図、右下が小学校(2016年12月26日「第35回横浜市都市美対策審議会景観審査部会」への提出資料より)※クリックで拡大
2020年4月に建設予定の新小学校(仮称「箕輪小学校」)について、土地購入額が43億円とされていることの根拠を問われた点には、「市の附属機関である『横浜市財産評価審議会』の答申に基づき決定した価格にて、引き続き地権者との土地売買契約を進めていきます」と回答しました。
なお、答申を行ったという横浜市財産評価審議会は、市のサイトによると「不動産鑑定士等により専門的観点から当該財産の価格を審議し、評定します」とし、共同不動産鑑定システムズ合同会社(西区北幸2)代表の杉田義朗氏ほか不動産鑑定士と弁護士の7氏委員で構成しているとされます。「審議会の会議及び議事内容は、公開しないものとする」(同審議会条例第11条)と定めているため、価格が決定された課程を知ることはきわめて困難です。
(※)見出し左側の画像は、今年5月11日に示された日吉側から見た建物外観パース(第37回「横浜市都市美対策審議会景観審査部会」の資料より)
【関連記事】
・<箕輪町計画で公聴会>「計画は“まち壊し”」「公共用地が多く期待」(2017年4月26日)
・<箕輪町計画>市の審議会が外観デザインで一定の評価、圧迫感低減へ注文も(2017年5月12日)
【参考リンク】
・港北箕輪町二丁目地区地区計画の決定について「公聴会における公述意見の要旨と市の考え方」(PDF、2017年6月23日公開)
・港北箕輪町二丁目地区地区計画の決定について(横浜市都市整備局、説明会当日のスライド資料[PDFファイル]も掲載)


