映画やドラマでも“日吉の街”を彩った歴史的な喫茶店が幕を閉じます。日吉駅前のサンロード商店街、日吉東急の向かいに位置する喫茶まりも(日吉2)が、来月(2017年12月)20日(水)をもって閉店すると店内で告知しました。
1979(昭和54)年からこの地で営業してきた喫茶まりもが来月(2017年12月)20日に閉店。日吉の街に馴染む風景として、人々に愛されてきた。建物は閉店の翌月より解体され、右隣の区画とともに新築ビルに生まれ変わる予定
1979年(昭和54年)7月、「慶應の大学生が夏休みの時に開店しました」と、同店を経営する有限会社まりも代表取締役の加藤政義さん。“MARIMO”と西洋風の大きな文字で銘打った看板、そして「昭和レトロ」な風情も人気で、現在に至るまで客足が途絶えることがなかった同店の38年の歴史を振り返ります。
加藤さんが父親から当時継承していた米穀販売店の経営が芳(かんば)しくなかったことから、新事業を行うために「どうしたらよいか」と思い悩んでいる中、母方の親戚であった新丸子駅東口に程近くで営業する「喫茶まりも」(中原区新丸子東)にモチーフを得て、喫茶店を日吉にも開店することを決めたといいます。
開店当初は、周辺には自動販売機もファミリーレストラン(ファミレス)もなかったとのこと。しかし「まったくお客様が来てくれませんでした」と当初は厳しい船出だったと語る加藤さん。当時、既に人気店となっていた隣(向かい)に店舗を構えるカフェコロラド日吉駅前店(株式会社ドトールコーヒー運営)の盛況ぶりを見て、「なぜ、うちにはお客様が入らないのだろう」と嘆いたといいます。
しかしその喫茶まりもを変えたのは、学生街・日吉らしく、慶應義塾の学生たち。「より“品格”を持った、日吉の街らしい店として差別化を図ろうと、慶應義塾の学生をアルバイトとして雇ったんです。たくさんのお客様を連れてきたのは、運動系のクラブでキャプテンを務めていたそのアルバイトの3人、今でいう、本当にカッコいい“イケメン”学生たちでした。『仲間たちを連れてきました!』と、あっという間に数十人もの“学生仲間”を連れてきてくれて、ガラガラだったお店をお客様でいっぱいにしてくれたんです」。
開店スタート時から“5年間”は休むことなく働いたという辛く厳しい日々の中、慶應義塾の学生たちがお店を盛り立ててくれたことに「感謝の想いでいっぱい」と語る加藤さん。
煉瓦(れんが)仕立ての建物に広がる喫茶空間では、コーヒーなどの飲物だけでなく、ナポリタンやサンドイッチなどの食事メニューも充実。“昭和の喫茶店”とも言える風情が人気を博し、数多くの映画やドラマのロケ地としても採用されてきました。
「店を継承していくことが難しくなり、閉店を決めました」と、喫茶まりもの歴史を閉じることを決断。建物は来年(2018年)1月から解体され、現在未使用の隣接地と合わせ5階建てのテナント・住居ビルに建て替える予定といいます。
レジ付近に貼られた閉店の挨拶と休業日の案内。人員の確保も難しくなり、表記以外の日時にお店を閉める可能性もあるとのこと。閉店に伴い混み合うことも予想されるため、「比較的空いていそうな時にご来店ください」と加藤さん
日吉の街を彩る“名物喫茶店”の閉店は、憩いや語らいを同店で重ねてきた人、通りかかる人々にとっても、一つの歴史の終焉(しゅうえん)として忘れられない記憶となりそうです。
(※)本記事の記載内容につきましては、読者の方より情報提供がきっかけとなり取材を行いました。ありがとうございます。
【関連記事】
・7年以上ぶりに「日吉特集」、東急電鉄の無料情報誌SALUS(サルース)で(2017年6月27日)※同店について記述あり
・日吉駅前「サンロード」は“ラーメン激戦区”に、綱島の著名店が移転オープン(2017年7月14日)※サンロード周辺で飲食店の開店・閉店が相次ぐ
【参考リンク】
・喫茶まりも日吉店(食べログのページ)



